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2013年7月28日 (日曜日)

夢よりも貰ふ吉事や初茄子(蕪村)

 蕪村の句を鑑賞します。

「几董子より初茄子を贈りたまひければ」

夢よりも貰ふ吉事や初茄子】(ゆめよりももらうきちじやはつなすび)

意訳:(弟子の几董より初茄子を贈っていただいたので)一富士二鷹三茄子というように、ナスの夢を見るとよいことがあるというけれど、こうして現実に初茄子をもらったほうが吉事である。

几董=高井几董(たかいきとう)、江戸時代中期の俳人、蕪村の門弟。

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 ナスは夏を代表する野菜のひとつです。「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざもあって、秋物のほうがおいしいとも言いますが、実際は7月頃から旬を迎えます。この句、いわゆるお中元のお返しに添えた挨拶句です。作句の背景を勝手に想像してみました。

 ある日のこと、蕪村の元に 「初物です。どうぞご試食ください」 と、一盛りのナスが贈られてきました。

 『誰から? あぁ、几董からのお中元か。おいしそうなナスやな。これはお礼に一句詠んで返さなあかんな。なんかええ句は…、そうや 【夢よりも貰ふ吉事や初茄子】 というのはどうやろ。“初夢にみると縁起がいいとされるナスも、所詮は夢でのこと。こうして現実にもらうほうがよほどめでたい。それも初ナス。几董さんありがとう、ごちそうさま” っていう意味や。初夢と初ナスの初つながりに、吉事もよぉ効いてる。よっしゃ、これでいこ。ええのが出来た』

 なんちゃって(笑) さすがに蕪村、上手に詠むものです。

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 さて、我が家にもお中元が届きました。ナスはナスでも浅漬けの京漬物です。私には句を詠んでお返しすることなど、とてもできません。せめてブログに写真を添えたいと思います。どうもありがとうございました。とてもおいしかったです。m(_ _)m

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(注)この句、蕪村全集(講談社刊)では、句風存疑とされています。

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