鉾処処にゆふ風そよぐ囃子哉(太祇)
(菊水鉾)
【鉾処処にゆふ風そよぐ囃子哉】(ほこしょしょにゆうかぜそよぐはやしかな)
炭太祇の句です。祇園祭宵山の景とされます。通りに面した二階からながめているのでしょうか。夕風に吹かれていると華やかな祇園囃子が聞こえてくる、というのです。祇園祭の雰囲気をうまく表現した、なかなかオシャレな句です。
とはいえ、このまま解釈したのではおもしろくありません。当ブログのカテゴリーは“勝手に鑑賞”です。この句の「処処」は「暑暑」に通じ、「囃子」は「林」に通じます。そこに注目して意訳すると…
【「暑い、暑い、ホンマに暑い!」と言いながら、夕涼みをしているとコンチキチンのお囃子が聞こえてきた。「にぎやかなことやなぁ。今日は宵山か。道理で涼しいハズや。囃子だけに林の中にいるみたい…なんちゃって」】
となります(笑)
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さて、本日四条通を通ると、鉾が立っていました。
(長刀鉾)
現代においては特に宵山にこだわることもありません。今年(2013年)は13日が土曜日なので、宵々々々山から四条通かいわいは多くの人出でにぎわいそうです。祇園囃子にしても、鉾からだけでなく四条通に面したお店やデパートなど、いろんなところから流れてきます。残念ながら、『ゆふ風そよぐ囃子哉』の風情は、もはや人ごみの中に失われてしまった感があります。
(函谷鉾)
【685】
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