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2013年8月19日 (月曜日)

古今集522(よみ人知らず)

行く水にかずかくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり

(ゆくみずにかずかくよりもはかなきはおもわぬひとをおもうなりけり)

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 恋する人に冷たくされて、小川のほとりにやってきた。

 「ここに来たのは何度めかしら。一、二、三…

 流れる水に棒きれで数字を書いてみる。けど、書いたものが残るわけはなし。

 「あの人を思うのは、水の流れに数を書くよりもはかないわ

 心がくじける。涙があふれる。いじける。

 「あ゛~、さびしいなぁ、悲しいなぁ

 『行く水に数書く』のは、古来より『はかない』ことのたとえです。振り向いてくれない人に心を寄せるのは、『はかない』以上に『はかない』のです。100%、いや120%可能性がありません。叶わぬ恋とわかっています。でも…

 この歌、伊勢物語の五十段にも出てきます。そちらのほうは男女がお互いの浮気をなじりあう中の一首になっていて、いささか理屈っぽく感じます。古今集522番として単独で鑑賞するのが好きです。最後を、断定に断定を重ねた『なりけり』と詠まずにはいられなかった、作者のせつない心に泣けます。

 「でも、やっぱり、どうしても…、好きなんです。あの人

【723】

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