とある日、風呂場にて。
「あなた! 蚊が出たよ! 蚊! 蚊!」
「大きな声出して、どうした?」
「ちょっとこっち来て。お風呂のタイルに大きな蚊が止まってるの」
「そんなもの自分で殺せばいいでしょう」
「上の方に居るから届かないのよ」
「仕方ないなぁ、どれどれ…、あ、ホントだ。大きな蚊だね」
「早くなんとかして」
「ダメダメ、この蚊はブログに載せないと。実は蚊を詠んだいい句があるんだ。ちょうどネタに困ってたところだし、待っててよ、カメラ持ってくるから」
「もー、いい加減にしてよ! 何かと言えばブログブログって、くだらない。隣の家の塀じゃあるまいし」
「バ~カ。それはブロックでしょ。どっちがくだらないかわかったもんじゃない」
「それより早くなんとかして! でないと、お風呂に入れないよ」
「OK! とれた」
「よかったぁ、それでこそ一家の主だわ。ブツブツ言わずにすぐに取ってくれればいいのよ」
「いやいや、写真に撮れた」
「じぇじぇじぇ!!! なにそれ~、このオタンコナス!」
ーーーーー
というわけで、芭蕉の門人李由(りゆう)の句を、身を持って鑑賞した次第。
【蚊の声の中にいさかふ夫婦かな】(かのこえのなかにいさかうめおとかな)
(笑)
【727】
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