行々し大河はしんと流れけり(一茶)
一茶の句を鑑賞します。
【行々し大河はしんと流れけり】(ぎょうぎょうしたいがはしんとながれけり)
(意訳)騒々しい声で鳴く“ギョウギョウシ”よ。鳴き声がちと仰々しくないか? 横を流れる大河は音もなく静かに流れているというのに。
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「行々し(ギョウギョウシ)」はヨシキリともいい、葦原などに生息する鳥のことです。大きな声で「ギョギョシ、ギョギョシ…」 と鳴くのでその名がついたそうです。ここでは「仰々しい(おおげさな)」と掛けられています。葦原が広がっているからには川沿いです。それも、かなり大きな川がゆるやかに、音もなく流れています。一句は「行々し(仰々し)」と「しん(しーん)」との対比が眼目です。 芭蕉の「能なしの寝たし我を行々し」が念頭にあったのかもしれません。
【719】
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