大の字に寝て涼しさよ淋しさよ(一茶)
一茶の句です。
【大の字に寝て涼しさよ淋しさよ】(だいのじにねてすずしさよさびしさよ)
「七番日記」文化十年五月にあるこの句は、ちょうど故郷の相続問題が解決したころの作品です。義母義弟との係争は約十三年間続き、結局父の遺言どおり、土地家屋とも半分を譲り受けることになりました。やっとの思いで自分のものにした家。大の字に寝ころんで「涼しさよ」「淋しさよ」とつぶやく一茶の脳裏には、さまざまな思いがあったのです。一茶の作品には、一読して諧謔にあふれたユーモア句と思われるものでも実は奥の深いものがあり、この句はそのひとつです。
↑というわけで、本日8月16日は「五山送り火」でした。せっかくなので近くの通りまで行って写真に収めましたが、大文字ならぬ小文字にしか写りませんでした(笑)
【720】
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