朝風に毛を吹れ居る毛むし哉(蕪村)
朝、散歩していたら、いつもの木の幹に何か緑色のモノが這っています。
「毛虫や! 気持ちワル~」
というわけで、毛虫を詠んだ蕪村の句を探してみました。
【朝風に毛を吹れ居る毛むし哉】(あさかぜにけをふかれいるけむしかな)
なんのことはない、そのままですね。強いて言えばこの句、居るは「いる」と読むのか「おる」と読むのか悩んだ次第(笑) もう一句、
【みじか夜や毛むしの上に露の玉】(みじかよやけむしのうえにつゆのたま)
毛虫といえば、グロテスクな虫の部類です。そこに「露の玉を配して美化したところがおもしろい」との河東碧梧桐の評が、蕪村句集講義にあります。「みじか夜」の季語が、毛虫の羽化への予兆を感じさせるとの解もあります。 なるほどねぇ。どちらかといえば嫌われ者の毛虫も、蕪村の手にかかれば美しく変身するようです。
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