水桶にうなづきあふや瓜茄子(蕪村)
蕪村句集より、
「青飯法師にはじめて逢けるに、旧識のごとくかたりあひて」
【水桶にうなづきあふや瓜茄子】(みずおけにうなずきあうやうりなずび)
意訳:(青飯(せいはん)法師に初めて逢ったが、旧知の間柄のように語り合うことができたので)二人の仲は、まるで水桶の中でうなづき合う瓜と茄子のようだ。
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なんでもない句ですが、たとえ方がおもしろいので取り上げてみました。
水桶に浮かぶ瓜と茄子が、まるでうなづきあうように見える。それと同じように青飯法師と私(蕪村)とは、初対面にもかかわらずお互い「うんうん」とうなづき合うくらい親しく語り合えた、というのです。青飯法師はツルツル坊主、蕪村もツルツル坊主。瓜も茄子も毛がなくてツルツル。比喩としてはまことに適当です(笑)
青飯法師は雲裡坊とも称し、尾張の俳人で支考門とのことです。蕪村とは俳諧を通じて知り合ったのでしょうか。久々に気の合う人に出会えた喜びが、どことなしに弾んだ調子となってあらわれています。
↑せっかくなので「うなづきあう」写真を添えようと思ったのですが、ウリがなかったのでキュウリとナスで間に合わせました。まぁ、キュウリもウリ科には違いないです(苦笑)
【728】
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