たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき(橘曙覧)
先日、職場の人たちとビアガーデンに行きました。橘曙覧の歌です。
【たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき】
(たのしみはこころをおかぬともどちとわらいかたりてはらをよるとき)
意訳:楽しみは、気がねのない友達と笑い語ってお腹をよじる時。
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江戸時代末期の歌人橘曙覧(たちばなのあけみ、1812-1868)は、素朴で自然な感情を詠んだ歌人として知られています。上の歌は「たのしみは」で始まり、「~とき」で終わる独楽吟の一首です。独楽吟は全部で五十二首。いずれの歌も、日々の楽しい出来事やふとした時に感じる感動を、わかりやすく親しみやすい言葉で綴っています。こんな歌もあります。
【たのしみは炭櫃のもとにうち倒れゆすり起こすも知らで寝しとき】
(たのしみはすびつのもとにうちたおれゆすりおこすもしらでねしとき)
意訳:楽しみは炭櫃(火鉢・いろり)のそばで倒れてしまい、ゆすり起こされるのも知らずに眠ってしまった時。
酔っぱらって帰宅した私がまさにこの状態でした。たしかに私自身は楽しかったのです。ただあくる日の朝、家人からさんざんイヤミを言われてしまったのは、曙覧さんの与り知らぬところでしょうか(笑)
【722】
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