みちのくの緒絶の橋やこれならんふみみふまずみ心まどはす(左京大夫道雅)
後拾遺集751、左京大夫道雅の歌を鑑賞します。
【みちのくの緒絶の橋やこれならんふみみふまずみ心まどはす】
(みちのくのおだえのはしやこれならんふみみふまずみこころまどわす)
(意訳)陸奥国にある「緒絶の橋」というのは、このことを言っているのだな。(恋人との)縁が切れて、橋を踏むことも文を見ることもなくなってしまった。実に心を惑わされるなぁ。
緒絶の橋の「緒」とは縁のことで、「緒絶え」は縁切れを意味します。ここでは恋する人との縁が切れてしまったことのたとえです。「橋」は逢瀬のたとえ。もはや恋人と逢うことは叶わない。さらに、橋は踏み渡るので「文」にも通じます。手紙のやりとりもできない。…で、「心惑わす」となります。なかなか、よく考えられた言葉の連想です。
「みちのくの緒絶の橋」は、宮城県大崎市古川にあります。この歌によって歌枕として知られるようになったのだそうです。芭蕉の奥の細道も、『…あねはの松・緒だえの橋など聞き伝えて…』 とあるものの、結局道を踏み間違えて行けなかった、と「ふみ」つながりでシャレています。
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その緒絶の橋を実際に見る機会に恵まれました。

東北新幹線古川駅から徒歩10分くらいの住宅街の中でした。

下を流れるのが緒絶川です。いつもは清流なのかもしれませんが、訪れたとき川の水は濁っていました。

道雅の歌が表示されていました。芭蕉が見損なった歌枕のひとつを、この目で見ることができて少し自慢です(笑)
【761】
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