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2013年10月12日 (土曜日)

即時(伊藤仁斎)

 江戸時代の儒学者、伊藤仁斎の詩を鑑賞します。

「即時」(そくじ)

青山簇簇対柴門(せいざんそうそう さいもんにたいす)

藍水溶溶遠発源(らんすいようよう とおくみなもとをはっす)

数尽帰鴉人独立(きあかぞえつくして ひとどくりつし)

一川風月自黄昏(いっせんのふうげつ おのずからこうこん)

※簇簇→むらがっているさま。

(意訳)青い山々が我が家の門に向かっている。藍色の水をたたえた川が 遠く源を発して流れてくる。ねぐらに帰るカラスを数え尽くして独り立ちすくむとき、川風が吹き月が出て、あたりは黄昏(たそがれ)に包まれてきた。

 伊藤仁斎(1627-1705)は京都の人。論語や孟子に関して独自の解釈を打ち立てたことで知られています。堀川学派と言われるように、堀川沿いの自宅に「古義堂」を開きました。弟子が三千人とも言われます。詩題の「即時」は、『今この時、見たまま』というような意味でしょうか。いい詩だなぁと思い、作詩の現場を訪ねてみました。

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 古義堂の跡は現在の東堀川通下立売を上がったところに、「伊藤仁斎宅(古義堂)跡並びに書庫」 としてあります。表示によると、写真左側の二階建ての土蔵(書庫)は、仁斎在世当時のものだそうです。

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 すぐ前を堀川が流れています。詩の言う「藍水」です。数年前まで暗渠になっていましたが、最近整備されて水流が復活し、遊歩道が設けられました。「青山」は、遥か向こうの北山のことでしょうか。カラスの姿が見えないのはよしとして、堀川通りを走る車の騒音が気になります。いったい仁斎のころはどんな風景だったのかと、独りたたずんで写真を撮るばかりです。

 それでも、自ずから迫る黄昏になんとなくうれしくなってくるのが不思議です。たぶんこの詩がすぐれているからだと思います。

【777】

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