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2013年10月 8日 (火曜日)

酒人某出扇索書(菅茶山)

 江戸時代の文化人、菅茶山の作品です。

「酒人某出扇索書」(しゅじんぼう、おうぎをいだしてしょをもとむ)

一杯人呑酒(いっぱい ひとさけをのみ)

三杯酒呑人(さんばい さけひとをのむ)

不知是誰語(しらず これだれのごぞ)

吾輩可書紳(わがはい しんにしょすべし)

意訳:『一杯目は人が酒を呑む。三杯目には酒が人を呑む』…これは誰の言葉か知らないけれど、うまいこと言うものだ。飲酒の心得としてメモしておこう。

ーーーーー

 酒好きの教訓とも言える、おもしろい詩です。

 菅茶山(かんさざん、1748-1827)は、備後(広島県)の生まれ。儒学者で、漢詩をよくしました。若いころ京都で学んだこともあります。この詩は、お酒好きに頼まれて作ったとあります。おそらく酒席で酔っ払った某に、「先生、記念にこの扇に何か書いて下さい!」 と、半ばごり押しにせがまれて作ったものでしょう。それにしては出来過ぎで、笑ってしまいます。

 ちなみに、結句の「可書紳」の(しん)とは、着物を大きな帯で結んだ際、前に垂れる部分をいうのだそうです。その裏側をメモ代わりに用いました。「書紳」で、“忘れないように書いておく”という意味になります。今少し調べてみたら、現代語で言う『紳士』とは、この帯のからきていることがわかりました。

 …ということは、今で言えばお相撲さんの化粧回しのようなものを締めているのが、いわゆる日本語の「紳士(ジェントルマン)」だったのでしょうか。たぶん高貴な人が締める帯には垂れていたのでしょうけど、「へぇ、そうなんだ」と、妙に感心&納得した次第です(笑)

(勝手な鑑賞であることをお断りしておきます)

【773】

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