« 角文字の筆のはじめや二日月(蕪村) | トップページ | ふけにけるわがよの影を思ふまに遥かに月の傾きにけり(西行) »

2013年10月15日 (火曜日)

ない袖を振て見せたる尾花哉(許六)

 焦門十哲、森川許六の句です。

ない袖を振て見せたる尾花哉】(ないそでをふってみせたるおばなかな)

※ない袖を振る→着物の袖が無いと袖は振れないことから、どうしようもないことのたとえ。袖にはお金を入れておくので、特にお金の無いことを言う。

※尾花→ススキの穂。動物の尾に似ていることから。

(意訳)普通、無い袖を振っても何も出てこないはずなのに、ススキの穂を遠くから見ていると、まるで無い袖を振って何かを出しているように見える。

ーーーーー

7801

 上の写真を見てください。あるお寺のススキを撮ったものです。よく見れば同じ方向になびくのではなく、右へ左へなびいています。許六が言っているのはこのような風景ではないでしょうか。ススキにしてみれば自然に任せて揺れているだけでしょうけど、一斉になびくのではなく、あちらこちらの方向に吹かれているススキを見て、許六は 『あれ? なんだかおかしいぞ。不思議な動きだ』 と思ったのです。 風が吹いているのかいないのか? まして西風か東風か? ふらふらしていて実態がわからない。それを、“無い袖を振って見せている” と詠んだのではないかと思います。

 とはいえ、あくまでも勝手な解釈です。実際のところは、作者に聞いてみないとわかりません。ただ、「(お金の)無い袖を振る」と「(枯れ)ススキ」の取り合わせに、言い得て妙とはこのようなことを言うのではないかと、どうもそんな気がします(笑)

【780】

« 角文字の筆のはじめや二日月(蕪村) | トップページ | ふけにけるわがよの影を思ふまに遥かに月の傾きにけり(西行) »

勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ない袖を振て見せたる尾花哉(許六):

« 角文字の筆のはじめや二日月(蕪村) | トップページ | ふけにけるわがよの影を思ふまに遥かに月の傾きにけり(西行) »