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2013年10月16日 (水曜日)

ふけにけるわがよの影を思ふまに遥かに月の傾きにけり(西行)

 新古今集1534、西行の歌です。

ふけにけるわがよの影を思ふまに遥かに月の傾きにけり

(ふけにけるわがよのかげをおもうまにはるかにつきのかたぶきにけり)

(意訳)年老いてきた自分の人生を思っているうちに夜も更けて、西の空遥かに月が傾いてしまった。

ーーーーー

 この歌、日本人の言葉遊び好きを象徴しているのではないでしょうか。「わがよ」に「世」と「夜」、「ふけにける」に自分が「老けた」と夜が「更けた」を掛け、「」に自分の人生と月の光を、年老いたことを月の「傾き」になぞらえています。縁語と掛け詞の連続です。ひねりにひねったこの歌、作歌にあたっては、かなり推敲を加えたことでしょう。

 西行は、新古今集の歌詠みの中では最高の94首入集しています。後鳥羽院は西行を評価して、「生得の歌人(生まれながらの歌上手)」と言ったとのこと。まさに大歌人です。後世の詩歌や文章に与えた影響には計り知れないものがあります。

 …でも、よく考えると西行は出家の身なんですよね。こういう歌を見ると、もしかして仏道修行そっちのけで、ダジャレばかり考えていたのではないか? とも思ってしまいます(笑)

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※勝手な鑑賞であることをお断りしておきます。なお、この歌、テキストによっては『更けにけるわがみの影を思ふまに遥かに月の傾きにける』とあります。

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