何着てもうつくしうなる月見哉(千代女)
【何着てもうつくしうなる月見哉】
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加賀千代女の句です。月見といえば、普通は月そのものを愛でますが、この時、千代女の関心は月にはなく、むしろ自分の身だしなみにありました。
『そろそろお供えをして、宴(うたげ)に備えなければならないわ。掃除は済ませたけど、料理を作らなきゃならない。おめかしもしないと…。着物は? 履き物は? 何着ようかな。どうしよう、今夜は名月なのよ。あー、どうしよう』
そして肝心のお月さまが照らしだすと、千代女はうっとりとしてしまいます。皓皓と輝く姿に、すっかり心を奪われてしまったのです。お供えも料理も着物も履物もどうでもよくなり、代わりにこの句が生まれました。

あるいは名月にこだわらなくてもいいと思います。虫の鳴く庭にちょっと出て、今宵の月を捜すだけで、月はなくても月見の風情は感じられるものです。美しいのは着物ではなく句作する千代女自身の心です。そして「月」ではなく「月見」なのです。
「なにきても うつくしゅうなる つきみかな」
なんといっても言葉の響きがいいですね。いかにも女性らしい表現が好きです。
(勝手な鑑賞であることをお断りしておきます)
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