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2013年11月 4日 (月曜日)

北壁や嵐木がらし唐がらし(一茶)

 本日、近畿地方に木枯らし1号が吹いたとのこと。やれ温暖化だ、異常気象だ、と言いながらも、冬は着実に近づいているようです。小林一茶の句を鑑賞します。

北壁や嵐木がらし唐がらし

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 冬間近のある日のこと。家並みの北壁沿いを歩く一茶に向かって、ヒューッと突風が吹きました。目に入る砂をよけて顔をそむけます。

 『まるでだ。もしや木がらし?』

 と、そこに見えたのは、軒下に吊るされたいくつかの赤いモノでした。

 『なんだ、あれは?…、唐がらしか。真っ赤に色づいて、なかなかきれいなものだ。嵐のような強い風が吹いたと思ったら木がらしだった。軒下には唐がらしが干されている。冬はそこまで来ているということだな、季節の移ろいは早い……うむ、一句できた! 

“きたかべや あらしこがらしとうがらし”

 「らし」「らし」「らし」と、我ながら見事に韻を踏んでるじゃないか、ハハハ…』

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 というわけで、作句の背景を勝手に想像してみました。当たらずといえども遠からず(笑) 「嵐」「木がらし」「唐がらし」と、流れるような言い回しには思わず笑みがこぼれます。

 この句は「七番日記」の文化十三年十月に掲載されています。岩波文庫版の語注によれば、謡曲・錦木に「嵐木枯村時雨」というフレーズがあるのだそうで、この句はそのもじりのようです。「むらしぐれ」を「とうがらし」と置いたところに一茶の俳諧があり、お手柄です。

【800】

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