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2013年11月19日 (火曜日)

このもよりかのも色こき紅葉哉(蕪村)

 蕪村の句を鑑賞します。

このもよりかのも色こき紅葉哉】(このもよりかのもいろこきもみじかな)

(意訳)こっちの紅葉より、向こうの紅葉のほうが、より色濃くて美しい。

 『こっちのモミジよりあっちのモミジがきれい』というだけのことですが、実は全山紅葉ともいうべき大きな風景を秘めています。ポイントは「このも」「かのも」です。一句の場面を想像してみます。晩秋の一日、蕪村は仲間たちと紅葉狩りを楽しみました。美しい風景に思わず声が出ます。

ーーーーー

 『このモミジ。きれいだな』

 『いや、そっちのがもっときれいだ』

 『見てごらん! 向こうのモミジ、信じられないくらい真っ赤に染まってるよ!』

 『うわー、ほんとだ、これはすごい!』

ーーーーー

 おそらくこのような会話が交わされていたはずです。「このもよりかのも」 の、流れるような語呂のよさは こっちよりあっち というより、むしろ 次から次へ の意味が強く、途切れることのない紅葉に、蕪村たちのテンションもエスカレートしていったことをあらわしています。つまりは、全山紅葉に蕪村たちの心も“全員高揚”していったというわけです。

 蕪村全集(講談社刊)によると、後撰集のよみ人知らず『山風の吹きのまにまにもみぢ葉はこのもかのもに散りぬべらなり』を参考歌として挙げてあります。「このもかのも」という言い回しを使った歌はほかにもあるので、蕪村の頭の中にこれらの歌があったのかもしれません。独創にしろ換骨奪胎にしろ、上手に詠むものですね。

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