« 秋風の吹上に立てる白菊は花かあらぬか浪の寄するか(菅原道真) | トップページ | 紅葉見や用意かしこき傘二本(蕪村) »

2013年11月16日 (土曜日)

あきはきぬ紅葉はやどにふりしきぬ道ふみわけてとふ人はなし(よみ人知らず)

 古今集287、よみ人知らずです。

あきはきぬ紅葉はやどにふりしきぬ道ふみわけてとふ人はなし

(あきはきぬもみじはやどにふりしきぬみちふみわけてとうひとはなし)

(意訳)秋は来た。もみじはわが家の庭に降り敷いている。道を踏み分けて来る人はいない。

ーーーーー

 自分のところに通って来なくなった恋人への恨みを述べた歌です。

 『あきは来ぬ。…ふりしきぬ。…人はなし。』と、一首の中で終止形を三つも使う言い回しは、よく知られたシャンソン「雪が降る(日本語詞安井かずみ)」の『雪は降る。あなたは来ない。雪は降る。重い心に。…』と同じ効果を与えています。古今集には同想で、

322【わが宿は雪降りしきて道もなし踏みわけて訪ふ人しなければ】

 もありますが、説明口調です。歌に込められた恨みの程度は、287番のほうに強く感じます。深まる秋の中、男を待ち続ける女の繰り言を、ため息まじりの歌に仕立てました。

 作者は言葉遊びを忘れていません。あきに「秋」と「飽き」、ふりしきぬに「(モミジが)降り敷く」と「しきりに降る」を掛けています。語感もよく、このよみ人知らずさんはきっと上手な歌詠みだったのでしょう。心に残る作品です。

8121(府立植物園への道)

【812】

« 秋風の吹上に立てる白菊は花かあらぬか浪の寄するか(菅原道真) | トップページ | 紅葉見や用意かしこき傘二本(蕪村) »

勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 秋風の吹上に立てる白菊は花かあらぬか浪の寄するか(菅原道真) | トップページ | 紅葉見や用意かしこき傘二本(蕪村) »