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2013年12月22日 (日曜日)

餅はつくこれから嘘をつくばかり(古川柳)

 柳多留より、古川柳です。

餅はつくこれから嘘をつくばかり】(もちはつくこれからうそをつくばかり)

 この句、餅と嘘と、二つの「つく」をならべたシャレが眼目なのは言うまでもありません。嘘をつく相手は、大みそかにやってくる借金取りのこととされます。ポイントは「餅つく」ではなく、「餅つく」となっているところです。作者の意を汲んで意訳すれば、

 『正月前にしておかなければならないことが二つある。ひとつは餅をついて食べ物を確保すること。もうひとつは借金取りに嘘をついて、なんとか返済を日延べにしてもらうこと。とりあえず餅はつく。絶対つく。あとは嘘をつくばかりだけれど、あの借金取りのことだ。一筋縄ではいくまい。どうにかうまくごまかすことができればいいのだが…』

 となるでしょうか。餅をつくのは100%実現可能だが、嘘をついて成功するのは50%・50%かなぁという不安感が、助詞の「は」と「を」の使い分けで見事に表現されています。全体の語呂のよさも滑稽さに味を添えています。借金取りに追われる当人は大変でしょうが、われわれ第三者には笑えます。

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 筆者の子供の頃、年末も押し迫った三十日ころに家族総出で餅つきをしました。お父さんがついてお母さんがこねて、つきあがった餅を子供たちがちぎって丸める。熱い熱いと言いながらも、自分で丸めたいびつな形のおもちを食べるのは、すこぶる楽しく、おいしかったものです。そんな街角の餅つき風景も、今となっては昭和レトロですね。

【848】

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