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2013年12月 6日 (金曜日)

冬ごもり燈下に書すと書かれたり(蕪村)

 蕪村句集より、

冬ごもり燈下に書すと書かれたり】(ふゆごもりとうかにしょすとかかれたり)

(意訳)冬ごもりよろしく部屋で書物を読んでいると、古人の筆跡で「燈下に書す」と書いてあった。なんとも言えず感慨深いものがある。

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 蕪村の読んでいたのは、たまたま手に入った書物だったのかもしれません。読み進めていくうち、内容に共感しました。版本ではなく写本だったのでしょう。末尾に「燈下に書す」とあります。蕪村は、現在の自分の境遇に重ね合わせ、万感胸に迫りました。自分もまた、一本の灯火の元、この書物を読んでいる。

 季語の「冬ごもり」が「燈下」を導く枕詞のようで印象鮮明です。結句「書かれたり」に深い余情を感じます。言い捨てたような詠みっぷりが、かえって効果的に働いています。

 長い歳月を経た古書に感激した蕪村。そのとき詠んだ句を、二百数十年後に鑑賞するおじさん。感動が感動を呼びます。

【832】

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