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2013年12月23日 (月曜日)

冬枯の森の朽葉の霜の上に落ちたる月のかげのさやけさ(藤原清輔)

 平安時代末期の歌人、藤原清輔の歌です。

冬枯の森の朽葉の霜の上に落ちたる月のかげのさやけさ

(ふゆがれのもりのくちばのしものうえにおちたるつきのかげのさやけさ)

(意訳)冬枯れている森。朽ちた葉に降りる霜。冷たい光を落とす月…、寒い! 寒いけれど、なんと透き通った風景だろう!

 清輔集にある歌です。

 冬枯、朽葉、霜、月影と、ひたすら寒さを誘引する言葉をならべています。それも、『・・・・の・・の・・・の・・の・・・(小休止)・・・・・・の・・の・・・・』と、助詞『の』を6回も使って、これでもかこれでもかと寒さを演出しています。

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 一首の眼目が、結句の「さやけさ」にあることは言うまでもありません。作者は、自分のまわりに広がる冬枯れの風景の中に、爽やかさ、清らかさを見つけました。「さやけさ」にすべての思いを込めました。「さやけさ」は、漢字で書けば「清けさ」です。単に寒いだけでなく、すがすがしく透き通った空気をイメージすることができます。ところがこの歌、新古今集では結句が「さむけさ」になっています。「さむけさ」は「寒けさ」で、それこそ寒いことを言いたいだけの歌になってしまいます。余情もなく、くどすぎます。「さやけさ」と「さむけさ」、一字違いで大違いとはこのことでしょうか。だらだらと続いた「の」の繰り返しが、「さやけさ」でキュッと引き締まります。

【849】

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