« つもりこし年は額のしはす哉(徳元) | トップページ | おめでたい話(ボールペン…2本目) »

2013年12月28日 (土曜日)

尻もちもつきてよろこぶ歳暮哉(貞徳)

 江戸時代初期の俳諧集「犬子集」より、松永貞徳の句です。

尻もちもつきてよろこぶ歳暮哉】(しりもちもつきてよろこぶせいぼかな)

(意訳)歳の暮に転んで尻もちをついてしまった。これも「餅つき」には違いない。正月前の縁起のよい出来事として喜んでおこう。

 貞門俳諧らしい言葉遊びの句です。歳末の餅つきと、尻もちを掛けています。この句の眼目は「よろこぶ」にあります。というか、貞徳翁は「よろこぶ」ではなく「よころぶ」と置きたかったはずです。初句に尻もち“も”とあるからには、この句、実際に餅つきをしている際に詠んだものと思われます。作句の場面を勝手に想像してみました。

ーーーーー

 貞徳一門の歳末恒例、餅つき大会でのこと。若い衆が杵を振り上げた時、あやまってスッテンコロリンと転んでしまいました。

 「どうしたんや、勢い余って尻もちかいな。かまへんかまへん。餅つきに、さらにツキが増えたということや。この際、尻でもなんでもついたらええ。一句できた! 『尻もちもつきてよころぶ歳暮哉』 はどうや。…え? あかんか。よころぶ(よぅ転ぶ)では縁起悪いか。それもそうやな、そしたら「喜ぶ」にしたらどうや。『尻もちもつきてよろこぶ歳暮哉』 ハハハ、これやったらええやろ。いずれにしてもめでたい、一門の皆は来年も転ばんように頼むでぇ。ハハハハ…」

ーーーーー

 というノリではないかと思うのですが、いくらなんでも想像が過ぎたかな?

【854】

« つもりこし年は額のしはす哉(徳元) | トップページ | おめでたい話(ボールペン…2本目) »

勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 尻もちもつきてよろこぶ歳暮哉(貞徳):

« つもりこし年は額のしはす哉(徳元) | トップページ | おめでたい話(ボールペン…2本目) »