« 京都東山(徳富蘇峰) | トップページ | ひまもなく散るもみぢ葉にうづもれて庭のけしきも冬ごもりけり(崇徳院) »

2013年12月 2日 (月曜日)

待人の足音遠き落葉かな(蕪村)

 蕪村の句です。

待人の足音遠き落葉かな】(まちびとのあしおととおきおちばかな)

(意訳)わが家に続く小道に落葉が降り積もって、恋しい人の訪れを知らせる足音も聞こえなくなってしまった。

ーーーーー

 「待つ恋」を女性の立場から詠んだものです。晩秋から初冬へと季節は移り、紅葉は落葉となって、女性の住まいへの道を埋め尽くしました。日ごろそれとわかる恋人の足音が、落葉のために聞こえなくなってしまいます。秋は“飽き”に通じます。そうでなくとも間遠になりつつある恋人の訪れが、「足音遠き」にあらわれています。降り積もる落葉に遠ざかる足音を重ねあわせて、恋人の心が自分から遠ざかっていくのではないかという不安・焦りをもたらします。つのる思いはいらだちへと変化して、ついにはあきらめになっていく…。そんな物語を、一句の中に読みとりました。

 この句、なかなかリズムのよい句だなと思ったら、「待人(machibito)」と「足音(ashioto)」が韻を踏んだ形になっていました。さらっと詠んでいるように見せるところが、蕪村のテクニックでしょうか。佳句です。

8282

【828】

« 京都東山(徳富蘇峰) | トップページ | ひまもなく散るもみぢ葉にうづもれて庭のけしきも冬ごもりけり(崇徳院) »

勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 待人の足音遠き落葉かな(蕪村):

« 京都東山(徳富蘇峰) | トップページ | ひまもなく散るもみぢ葉にうづもれて庭のけしきも冬ごもりけり(崇徳院) »