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2013年12月11日 (水曜日)

襟巻に首引入て冬の月(杉風)

 芭蕉七部集「猿蓑」より、杉風の句です。

襟巻に首引入て冬の月】(えりまきにくびひきいれてふゆのつき)

(意訳)冬の夜、所用のため戸外へ出た。あまりの寒さに首を襟巻の中にすくめる。自然と見上げることになった空には、冬の月が皓皓と寒い光を放っていた。

 一連の動作を象徴しているのが「首引入て」です。亀が甲羅に首をひっこめるかのような、ユーモラスな姿を思わせます。

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 杉風は、襟巻(マフラー)を巻いて外に出たのですから、それなりの寒さは承知の上でした。にもかかわらず、予想外の寒気が体を覆いました。まさかこれほどまで寒いとは思わなかったと首をすくめます。肩を上げて両腕を抱く姿勢を取りました。体全体を丸くさせます。自然と目線は上を向き、皓皓と輝く月が眼に入ります。『月よおまえも寒そうだな』

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 と、このような場面を想像します。芭蕉はこの句を気に入ったようです。元禄元年十二月の書簡二通に書き残しています。私もお気に入りです。雰囲気がありますし、なにより、わかりやすいのがいいですね。

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