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2014年1月 6日 (月曜日)

思ひつつへにける年をしるべにてなれぬるものは心なりけり(よみ人知らず)

 後撰集恋六より、よみ人知らずの歌です。

思ひつつへにける年をしるべにてなれぬるものは心なりけり

(おもいつつへにけるとしをしるべにてなれぬるものはこころなりけり)

意訳:(あなたを)恋しく思いながら過ぎ去った年月を知ってくれていて、切ない思いにも慣れたのは、(私の)心だけです。

※ しるべ=知る辺? 道案内、目当て。

ーーーーー

 『恋しい人を何年も思い続けたけれど成就することはなく、それでも相手を思わずにはいられない切ない気持ちに慣れてしまった』…というのですね。これはもはや単なる失恋ではなく、片思いでもなく、いわゆる『恋に恋した』状態なのだと思います。

 「へにける」、「なれぬる」、「なりけり」・・・多用された助動詞はそれぞれ、『経てしまった』、『慣れてしまった』、『心なのであった』というニュアンスで、無理にでも恋心を断ち切ろうと努力しています。でも、悲しいかな、それがかえって未練のあることを強調しています。

 この歌、心が屈折していますが、そこがこの歌のいいところです。いつまでも相手を思い続ける「よみ人知らず」さんに感動します。「こうなったら、とことんまで好きでいなさい!」と、応援したくなります。

【863】

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