数の子は二親をいはふ年始哉(氏重)
江戸時代初期の俳諧集「犬子集」より、氏重という人の句です。
【数の子は二親をいはふ年始哉】(かずのこはにしんをいわうねんしかな)
意訳:お正月に大勢の子供が集まって、両親を祝っている。おせち料理のカズノコもニシン(鰊)を祝っている。「数の子」と「カズノコ」、「二親」と「ニシン」…、まさに年始にふさわしい風景だなぁ。
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作者の氏重(しじゅう)は渡辺氏で京都の人。
「数の子」と「カズノコ」、「二親」と「ニシン」の連想は見事です。「カズノコ」は「年始」のおせち料理につきものだし、大勢の子供が両親の元に集まってお祝いするのも「年始」にふさわしい光景です。さらに「ニシン」と「ネンシ」は語呂が似ていて、句のリズムをよくしています。五七五という制約の中、掛け言葉も、情景描写もピタリとはまっています。これはよくできた句ですね~。ハイレベルなダシャレは貞門俳諧の真骨頂ではないでしょうか。
感激したこのおじさん、思わず“カズノコパック”を買ってしまいました。作品を、登場する食材とともに味わうのも、詩歌鑑賞の醍醐味のひとつです(笑)
【870】
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