山茶花や蝶のをらぬも静也(李東)
自宅近くの公園のサザンカが見ごろを迎えています。元禄時代の俳諧集「卯辰集」より李東という人の句です。
【山茶花や蝶のをらぬも静也】(さざんかやちょうのおらぬもしずかなり)
(意訳)サザンカが咲いている。まわりには蝶が飛ぶこともなく静かなことだ。
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作者李東(りとう)は加賀焦門の一人で近藤氏。収録されている「卯辰集」は同じく加賀焦門の北枝(ほくし)によって編まれたもので、金沢市内の卯辰山にちなんで名付けられました。
「山茶花」と書いて「サザンカ」と読むこの花、もともとは漢字表記のままの「サンチャカ(サンザカ)」だったのが、日本語として発音しにくいという理由から、いつのまにかサザンカになったのだそうです。『へぇ~、そうなんだ』 と思う反面、『なんだ、いい加減な!』 とも感じる不思議な花です。
で、一句は “花といえば普通は春から秋にかけて咲くもの。蝶がつきもののはずなのに、冬に咲くこの花のまわりには蝶が飛ぶことはない” との意味で、穿ちといえば穿ち、『なるほど。そうか』 と思う反面、『なんだ、それだけのことか。つまらない!』 とも感じる不思議な句です。たぶん結句の「静也」がイマイチなのでしょう。
サザンカだけに散々かな?(笑)
【865】
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