足が出て夢も短かき蒲団かな(炭太祇)
【足が出て夢も短かき蒲団かな】(あしがでてゆめもみじかきふとんかな)
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太祇句選にある句です。気のおけない友人宅にでも泊まりに行ったのでしょうか。
夜更けまでさんざん飲んで語り合った後、さあ寝ようと用意してくれた蒲団が、いかにもちんちくりんで短い。
『何や、この蒲団、えらい短いなぁ。今夜はこれで寝るんかいな。これやったら、見る夢も短いやろなぁ』
というのです。さすが炭太祇、笑いのポイントをつかんだ見事な滑稽句です。
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この句を鑑賞しているとき、ある人に 「この句に詠まれている短い蒲団は、敷布団、掛布団のどちらでしょうか?」 と質問されました。
「敷布団か掛布団か、…う~ん、わからないなぁ。たぶん両方じゃない?」
「ブー。残念でしたぁ。“夢も短かき蒲団”でしょ。ゆめもみじかきふとん…みじかきふとん…みじかけふとん・・・みじかけぶとん・・・、というわけで掛布団でした~」
「何やそれ! しょうむな!」
(苦笑)
【885】
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