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2014年1月26日 (日曜日)

雲居ゆくつばさもさえて飛ぶ鳥のあすかみ雪のふるさとの空(土御門院)

 玉葉和歌集冬より、土御門院御製です。

「鳥雀群飛欲雪天」といふことを

雲居ゆくつばさもさえて飛ぶ鳥のあすかみ雪のふるさとの空

(くもいゆくつばさもさえてとぶとりのあすかみゆきのふるさとのそら)

意訳:(「鳥や雀が群がり飛んで、雪の降ろうしている天」という題で詠んだ歌)翼が寒さに凍えて飛ぶ鳥の様子を見ても、明日は雪が降ると思われる。みゆきが予定されている古都飛鳥の空に。

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 この歌、たぶん「飛ぶ鳥」に実景と枕詞の「飛ぶ鳥の飛鳥」が、地名の「あすか」に「明日か」、「み雪」に「御幸」、「ふるさと(故郷)」に「(雪の)降る里」が掛けられているのでしょう。題詠とはいえ、ここまで掛け言葉を連ねてあるのはすばらしい連想力です。

 土御門院(1196-1231)はわずか3歳で皇位につかれました。もちろん父である後鳥羽天皇が上皇となって院政を敷かれ、実権はありません。ところが、温和な性格が成立したばかりの鎌倉幕府との折衝に心もとないとの理由で、16歳で異母弟の順徳天皇に譲位させられます。承久3年(1221)の承久の乱の際には、直接関与しなかったにもかかわらず、首謀者である後鳥羽上皇の子供ということで、自ら望んで土佐国(後に阿波国)へ遠流になられたのだそうです。そのまま京都へ戻ることなく、三十歳代半ばでお亡くなりになりました。

 歌人としては、言葉の使い方の細やかな歌が多く、やさしいお心がしのばれます。表題歌はどこまでが実景でどこからが言葉遊びかわからないややこしい歌ですが、「あすかみ雪の」という言い回しが素敵です。美しい調べが印象に残ります。

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