待つ人の今も来たらばいかがせむ踏ままく惜しき庭の雪かな(和泉式部)
今朝、目が覚めたら雪が積もっていました。詞花和歌集巻四冬より和泉式部の歌です。
「題しらず」
【待つ人の今も来たらばいかゞせむ踏まゝく惜しき庭の雪かな】
(まつひとのいまもきたらばいかがせんふままくおしきにわのゆきかな)
(意訳)私の待っているあの人が来たらどうしよう。この庭の雪、踏んでしまわれるのは惜しいわ。
ーーーーー
恋人が訪ねて来る日の朝、折からの雪で庭は真っ白です。愛しいカレは庭を横切ってやって来ます。せっかくの雪景色に足跡をつけられるのは、いかにももったいない。できればこのままの状態で置いておきたいわ。…と歌うものの、実はカレの訪れを今か今かと待っています。早く来て欲しいのは言うまでもありません。
さて、今朝の積雪は2~3センチといったところでしょうか。京都市内に雪の積もるのは珍しく、せいぜい年に数回程度です。積雪の多い地方の方には申し訳けないですけど、ついうれしくなってはしゃいでしまいます。千年前とはいえ、同じ京都市内で詠んだと思われる表題歌は、そんな気分をよく表しています。
【876】
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