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2014年1月 9日 (木曜日)

年月はあらたあらたに相見れど吾思ふ君は飽き足らぬかも(大伴村上)

 万葉集巻二十より、いくつかの歌を勝手に鑑賞してみます。

4299【年月はあらたあらたに相見れど吾思ふ君は飽き足らぬかも

(としつきはあらたあらたにあいみれどあがもふきみはあきだらぬかも)

(意訳)毎年毎年、こうしてお目にかかるのですが、私がお慕いする君は見飽きないですね。

 この歌、恋の歌かと思いきや、さにあらず。

 天平勝宝六年(754年)正月四日に大伴一族が年始の宴会をした際、族長の少納言大伴家持に対する年頭の祝辞なのだそうです。詠み人は民部少丞(従六位相当)大伴宿禰村上(おおとものすくねむらかみ)という人です。万葉集にはこのときの歌が三首記録されています。あとの二首は、

4298【霜の上に霰たばしりいや増しに吾は参ゐ来む年の緒長く】・左兵衛督大伴千室

意訳:霜の上にあられが飛び散って数を増すように、これからも私はやって来ましょう。末永く。

4300【霞立つ春のはじめを今日のごと見むと思へば楽しとそ思ふ】・左京少進大伴池主

意訳:春霞の立つ新年に、今日のようにお会いできるかと思うと、楽しいことですね。

 です。

 要するに、この三首は大伴家の新年会で歌われたものです。いずれも一族の繁栄を願ったおめでたい歌ですが、気になるのは4298・4299の歌の注意書きに「古今未詳」(古くからある歌か新しく作った歌か未だ詳らかでない)と書いてあることです。新作か旧作かわからない…、もしかして毎年同じ歌で寿いでいたのなら、おべんちゃら丸出しです。

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 私自身、今週末に予定されている新年会の心構えの参考にしたいと思います。上司やお偉方に気を遣わなければならないのは、万葉時代も今も同じようですから(笑)

【866】

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