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2014年2月 2日 (日曜日)

朽葉よりあらわす苔の緑哉(紹巴)

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 昨年の秋からコケに興味を持ち、小さな植木鉢に植え付けて育てています。肥料は要らない、水だけでいいというので、素人でも簡単に育つかなと思ったのですが、さにあらず。湿度や日光の加減がなかなか難しいです。植え付けてから約6カ月が過ぎ、全体に緑色になったものの、一進一退の成長具合です。

 というわけで安土桃山時代の連歌師紹巴の句です。

朽葉よりあらわす苔の緑哉】(くちばよりあらわすこけのみどりかな)

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 この句、単純に解釈すれば「朽葉の下から緑色をした苔がのぞいてきている。春が近づいてきたなぁ」となるのでしょうけど、実は、苔というのは冬の間も結構元気に青々としています。歩道のコンクリートの隙間でよく見かけるギンゴケなどは、南極大陸のような過酷な環境でも生育するのだそうです。

 作者の里村紹巴(さとむらじょうは、1525-1602)は室町時代末期から安土桃山時代にかけての連歌の第一人者です。豊臣秀吉など多くの武将とも交流がありました。この句には「昌休廿五回忌」との前書きがあります。昌休というのは紹巴の俳諧の師匠です。ということはお墓に生えたコケに25年前に亡くなった師匠を偲びつつ、現在の連歌の隆盛を報告しているのでしょうか。室町期の連歌といえば、どうしてもシャレや言葉遊びばかりが目につきますが、このような素朴な発句もあったのです。作者の感動が「苔の緑哉」に集約されているようで、コケ好きの私には新鮮に思えます。

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