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2014年2月 6日 (木曜日)

はるの寒さたとへば蕗の苦みかな(成美)

 夏目成美の句です。

はるの寒さたとへば蕗の苦みかな】(はるのさむさたとえばふきのにがみかな)

意訳:立春を迎えたもののまだまだ寒いのは…、そうだな、たとえばアク抜きをした蕗に、まだ少し苦味が残っているようなものだろう。

 ここで言う「」はたぶん「ふきのとう」のことでしょう。ふきのとうがいっせいに芽を出すころ、立春を迎えます。摘んできた「ふきのとう」を湯がいて食べやすくしても、まだ苦味が残る。同じように、立春を迎えて暖かくなることはわかっていても、まだ寒さが残る、というのです。

 夏目成美(なつめせいび、1749-1816)は、江戸の富裕な札差(金融業者)でした。小林一茶のパトロン的存在だったことでも知られています。足が不自由だったにもかかわらず、都会的でおおらかな作風には卑屈なところを感じません。生活に余裕があったからでしょうね。

 この句、穿ちの句ながら、嫌味のないお手柄の一句だと思います。 「春の寒さ」と「」をつなぐ「たとえば」が効果的に働いています。実にうまくたとえたものだと、思わず笑ってしまいます。

【894】

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