名をもたぬ京の桜はなかりけり(正岡子規)
京都市内の桜の名所のひとつ、「平野神社」にて正岡子規の句を鑑賞してみました。
【名をもたぬ京の桜はなかりけり】(なをもたぬきょうのさくらはなかりけり)
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平野神社にはさまざまな品種の桜があり、それぞれ開花時期が異なるため、三月の彼岸過ぎからゴールデンウイークまで楽しめることで知られています。境内の「さくらのしおり」と書かれた掲示板に「珍種十品種の紹介」とあります。いくつかを実際に見てみます。
胡蝶桜(開花 4月5日頃)
平野妹背桜(開花 4月15日頃)
御衣黄桜(開花 4月20日頃)
突羽根桜(開花4月20日頃)
いずれも、ただいま(3月末現在)のところほとんどつぼみ状態です。ただ「魁(さきがけ)桜」のみ、その名のとおり、他品種に“先駆けて”見ごろを迎えていました。
(魁桜 開花 3月28日頃)
「魁」「胡蝶」「平野妹背」「御衣黄」「突羽根」…、たしかに『名を持たぬ桜はなかりけり』です。もしやこの句は平野神社で詠まれたのではないか? と思うとき、子規と感動を共有したような気になって、わけもなく楽しくなりました(笑)
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