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2014年3月20日 (木曜日)

大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月(藤原定家)

 新古今巻1春歌上より藤原定家の歌です。

「守覚法親王家五十首歌に」

大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月

(おおぞらはうめのにおいにかすみつつくもりもはてぬはるのよのつき)

(意訳)大空は梅の香りに霞んでいる。そしてぼんやりと曇りも果てない春の夜の月、そう朧月が出ている。

 同じ新古今集の大江千里の歌、「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき」を本歌としています。どちらの歌も、曖昧模糊とした春の夜を詠んだ秀歌です。大江千里の歌は『照りもせず曇りもはてぬ』と、視覚だけに訴えているのに対して、この歌は『にほひ(嗅覚)』も詠みこんでいるのが特徴的です。それも『梅のにほひ』を取り合わせることによって、より優艶な夜を演出することに成功しています。どちらが優れているかは鑑賞する者の好みによるでしょう。ただし、たいていの人は「曇りもはてぬ春の夜」という名フレーズを、先に大江千里の歌で知ります。定家の歌は二番煎じの感が否めないのが残念です。

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