梅でのむ茶屋もあるべし死出の山(子葉)
赤穂浪士四十七士のひとり、大高源吾(子葉)の辞世の句です。
【梅でのむ茶屋もあるべし死出の山】(うめでのむちゃやもあるべししでのやま)
(意訳)冥途にあるという死出の山。旅の途中には、梅を見ながら酒の飲める茶屋もあるだろう。
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大高子葉(おおたかしよう、1672-1703)は水間沾徳に俳諧を学び、其角や鬼貫とも交流した風流の人でした。名文家で、俳諧史にも名をとどめています。討ち入り当日に吉良邸で茶会が開かれることをつきとめた逸話はよく知られています。
大石内蔵助の「あら楽し思ひは晴るゝ身は捨つる浮世の月にかゝる雲なし」はじめ、赤穂浪士の辞世には各人の思いとともに、詩作の技量も読みとれます。この句は秀逸で、簡潔かつ季節感にあふれています。子葉は無類の酒好き、酒豪でした。そこに「梅」「茶屋」を取り合わせたのは、さすがです。
赤穂浪士が吉良邸に討ち入りしたのが元禄15年の12月14日。本懐を遂げ一同が切腹したのが、元禄16年2月4日のことでした。今年(2014年太陽暦)は3月4日が旧暦の2月4日にあたります。
梅が盛りを迎えています。「梅でのむ茶屋もあるべし…」 この際、浪士たちを偲びつつ、お酒を飲んで供養したいと思います。
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