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2014年4月30日 (水曜日)

目昏(梅尭臣)

 先日、突然筆者の右目に雲がかかったような影があらわれ、かかりつけの眼科を受診したところ、眼底に血栓ができているとのこと。翌日直ちに大きな病院に行くように言われました。

 『え~っ! これはやばい! 失明したらどうしよう…』

 こういうときは、まずは落ち着くことが重要です。とりあえず、ふう~っと深呼吸して自宅に帰り、本棚の句集・歌集・詩集を調べてみれば、中国北宋の人梅尭臣(ばいぎょうしん、1002-1060)の詩に「目昏」というのを見つけました。

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「目昏」(め こんす)

我目忽病昏(わがめ にわかにくらきをやむ)

白昼若逢霧(はくちゅう きりにあえるがごとし)

窺驚隻物双(うかがってせきぶつのそうなるにおどろき)

書輒下筆誤(かけばすなわちふでをくだしてあやまる)

来人髣髴是(らいじん ほうふつとしてこれなり)

飛鳥朦朧度(ひちょう もうろうとしてわたる)

紜紜孰弁別(うんうん たれかべんべつせん)

此已忘好悪(これすでにこうおをわするるなり)

※輒(すなわち)=そのたびに。いつも。

※髣髴(ほうふつ)=なんとなくそれとわかる。

※朦朧(もうろう)=おぼろ、ぼんやり。

※紜紜(うんうん)=いろんなものがごたごた入り混じったさま。

(意訳)私の目が急にかすんで見えにくくなり、白昼なのに霧の中にいるようだ。ちらっと見れば、ひとつのものがふたつに見えるのに驚き、字を書けば、筆を下した途端に間違ってしまう。やってくる人はぼやけたままで、飛鳥はぼんやりと飛んでゆく。何もかもごちゃごちゃで区別できなくなった。もはや好き嫌いとかなんとか言ってられない。

(参考:中国詩人選集二集、第3巻「梅尭臣」)

 「昏」は「暗」に通じ、「目昏」とは、まさに目の前がくらくなった意です。この詩は私の症状と心境そのままです。

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 一晩寝て冷静さを取り戻した私は、翌日の朝一番に大病院に行きました。造影剤の点滴、眼底撮影など丸一日がかりの検査・診察です。

 ところが、どうやらそのときには自然に血栓が取れていたようで、血管の詰まっているところが特定できないとのことでした。それから約3週間。右目の視界中央にあった影の部分も次第に消えてゆき、今ではわずかに残るだけです。一安心とはいうものの、一度血栓ができたとなると、次は脳梗塞? 心筋梗塞? と、気に病む日々が続いています。

 「そんなに心配することはありませんが、とりあえず血液をサラサラにしておいてくださいね」とおっしゃった先生の言葉が脳裏から離れません。血栓の原因としては、よく言われる「高血糖」・「高脂血症」・「高血圧」に加えて「ストレス」も大きな要素なのだとか。考えてみればこのブログ書きは、本来ストレス解消のために始めたはずが、今では逆にストレスの原因になっているのかもしれません。

 はぁ~あ。まいったなぁ…。

【977】

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