午沈(王安石)
祝日の今日、出かけるところとてなく、午後から昼寝をむさぼっておりました。中国北宋の政治家で詩人の王安石の作品を鑑賞してみます。
「午沈」(ごちん)
午沈花前簟欲流(ごちん かぜんにてんながれんとほっし)
日催紅影上簾鈎(ひはこうえいをうながして れんこうにのぼらしむ)
窺人鳥喚悠颺夢(ひとをうかがいてとりはよぶ ゆうようのゆめ)
隔水山供宛転愁(みずをへだててやまはきょうす えんてんのうれい)
※午沈=昼寝。
※簟(てん)=竹で編んだむしろ。
※紅影=花の影。
※簾鈎(れんこう)=すだれのカギ。
※悠颺(ゆうよう)=ゆったりのどか。
※宛転=ゆるやかにまがりくねるさま。
(意訳)花の前で昼寝をすると、竹のむしろに照る光が流れるように見え、花の影を次第に簾のかぎの上までのぼらせる。人をのぞきこむようにさえずる鳥の声に、のどかな昼寝の夢を呼び覚まされ、川の対岸にくねる山並みが、愁いをもたらす。
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上のように意訳はしたものの、何を言いたいのかがわかりません。とりあえず、日差しのあるところでのんびりと昼寝をしていることはわかるのですが、作者の置かれている状況が、もうひとつよくわかりません。すると、ある人が、「これは“うたた寝”してるんじゃないかな?」 と教えてくれました。
そこで「うたた寝」を辞書で引いてみると、『正式に床にはいらず、しばらく寝ること』とありました。だとすれば王安石は、椅子か何かに腰掛けたまま眠っていたことになります。だから細目を開けたとき、「簟」や「廉」に日光が動いているのが見えたわけです。それに気づいたとき、ようやく三句目の「窺人鳥喚」、四句目の「隔水山供」をもイメージすることができました。つまり、眠っているのか目覚めているのか、作者自身、自分でもわからない境地にいたのです!
「そうか、作者は床に入らずに寝てるのか。わたしゃ、てっきりベッドで昼寝してるものだと思ってた。なるほど、うたた寝かぁ」
…ひとつ賢くなりました(笑)
【976】
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