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2014年4月19日 (土曜日)

まん中にさけかし庭のかたすみれ(毛吹草より)

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 江戸時代はじめの俳諧論書「毛吹草」から、菫を詠んだ句です。

まん中にさけかし庭のかたすみれ】(まんなかにさけかしにわのかたすみれ)

(意訳)スミレよ、庭の真ん中に咲きなさい。そんな片スミではなく。

 毛吹草(けふきぐさ)は貞門俳諧の作法を記した書物で、松江重頼(1602-1680)の編です。本来、私のような素人の手に負える本ではないのですが、時としてわかりやすい句に出合います。この句はそのひとつで、巻五「春」・「菫」の項から拾ってきました。作者は宗治となっています。「菫」と「片隅」を掛けただけのことです(笑)

菫さく比やいつくも紫野】(すみれさくころやいづくもむらさきの)

(意訳)スミレの花咲くころは、どこもかしこも紫野だ。

 こちらの作者は重供とあります。スミレの紫色と地名の紫野(京の七野のひとつ)を掛けています。地元民にしか理解できない言葉遊び、ダジャレとはいえ、単純に笑えるおかしさがあります。

(参考:「毛吹草(岩波文庫)」)

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勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事

コメント

ありがとうございました!

分かりやすく解釈してくださり、とても勉強に成りました。
ありがたく申し上げたいと思いました。

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