夏といへばまづ心にやかけつはた(毛吹草)
(大田神社にて)
江戸時代はじめの俳諧論書「毛吹草」から、カキツバタを詠んだ句を鑑賞します。
【夏といへばまづ心にやかけつはた】(なつといえばまずこころにやかけつばた)
(意訳)夏を迎えたこのごろ、まず気にかかるのはカキツバタのことだなあ。『夏季を迎えてカキツバタ』 なんちゃって。
ただのダジャレでした。毛吹草から、もう一句鑑賞します。
【むかし男ほねや折句の杜若】(むかしおとこほねやおりくのかきつばた)
(意訳)むかし(昔)男といえば、在原業平。在原業平といえば、伊勢物語。伊勢物語といえば、東下り。東下りといえば、三河国八橋に咲く杜若。三河国八橋に咲く杜若といえば、唐衣着つつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ の歌。唐衣着つつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふ の歌といえば、か・き・つ・は・たを読み込んだ折句(おりく)。というわけで、業平さんも折句には、骨を折りくだったことだろう。
って、意訳するほうがよほど骨が折れました。
とりあえず今日も書きつばたです。
【996】
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