木隠れて茶摘みも聞くやほととぎす(芭蕉)
芭蕉の句です。
【木隠れて茶摘みも聞くやほととぎす】(こがくれてちゃつみもきくやほととぎす)
(意訳)茶畑の中に見え隠れしている茶摘み女たちも、そのあたりを横切るホトトギスの鳴き声を聞いていることだろう。
元禄7年4月、芭蕉が最後の旅に出る前に江戸芭蕉庵で詠んだ句とのこと。木隠れているのは茶摘み女? それともホトトギス? 鳴き声ばかり強調されて、なかなか姿を見せないホトトギスのイメージとしてはぴったり合うのかもしれませんが、作者と茶畑と茶摘み女とホトトギス、四者の位置関係がどうもわかりにくいです。解説本によると想像の作らしいですから、解釈も各人が勝手に想像するしかないです。ただ、リズムはすこぶるいいですね。いかにも芭蕉らしい語呂のよさ、音楽性を感じます。「茶摘み」は春、「ほととぎす」は夏で、季重なりなんですけど、気にならないのはさすがに芭蕉です。
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(放生院)
句碑が、宇治橋近くの放生院にあると聞き、宇治市内に所用があった際、訪ねてみました。
(句碑)
何が書いてあるのか、私にはほとんど読めませんでした。いい句だけに残念です。
【986】
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