夏風邪はなかなか老に重かりき(虚子)
夕べから体がだるく、どうやら風邪をひいたようです。夏風邪でしょうか。こういうとき、古人の詠んだ句はないものかと探すと、高浜虚子の句がありました。
【夏風邪はなかなか老に重かりき】(なつかぜはなかなかおいにおもかりき)
(意訳)夏風邪というと、どうしても軽く思いがちだが、老の身にとってはなかなか症状が重いものだ。
昭和14年作とあり、虚子が65歳の句です。現代ならばようやく年金が満額いただける年齢で、「老」と呼ぶにはちょっと早いような気がします。当時の65歳はもはや高齢でした。ちなみに虚子は昭和34年に85歳で亡くなっています。この句、「夏風邪」「なかなか」の「ナ」音と「老」「重かりき」の「オ」音の重なりに、流れるような調べがあります。『この歳になると夏風邪程度でも、身にこたえるなぁ』という虚子のため息が聞こえます。
それにしても、いろんな場面を詠んだ句があるものだと感心します。虚子は生涯に20万句以上詠んだのだそうです。85年の生涯に20万句! 物心ついてから亡くなるまで毎日句を作ったとしても、一日10句以上詠んだ計算になります。よくぞネタが切れなかったものです。驚きます。
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さて、このおじさん、帰宅して体温を測ってみたら37.7度ありました。平熱が35度台の私には37.7度は高熱です。
なにはともあれ、今宵は早々に床につくことにします。あーしんど(ふぅ)
【998】
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ありがとうございます。5/24(土)のお昼過ぎには熱も下がってきました。ホッとしています(笑)
投稿: ほととんぼ | 2014年5月24日 (土曜日) 12時29分
いつも楽しみにしています。
お大事になさってください。
投稿: | 2014年5月24日 (土曜日) 01時31分