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2014年5月 6日 (火曜日)

つくづくと春日のどけきにはたづみ雨の数見る暮ぞさびしき(九条左大臣女)

 玉葉和歌集春歌上より、九条左大臣女の歌です。

「庭春雨といふことを」

つくづくと春日のどけきにはたづみ雨の数見る暮ぞさびしき

(つくづくとはるひのどけきにわたずみあめのかずみるくれぞさびしき)

(意訳)つくづく(終日)のどかな春の日に、にわたづみに落ちる雨の数を見ている夕暮れの寂しいことよ。

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 ブログのネタ探しに玉葉集を眺めているとき、目にとまった歌です。作者の九条左大臣女(くじょうさだいじんのむすめ)は鎌倉時代の歌人で、左大臣藤原道良の娘です。ポイントは「にはたづみ」です。聞きなれない言葉で、私には意味がよくわかりませんでした。古語辞典を引くと、

 にはたづみ【庭潦・行潦】:雨が降って、地面にたまって流れる水…』

 とありました。さらに漢和辞典で「」を引くと、

 『【潦(ロウ)】①ニワタズミ、庭のたまり水②大水③長雨…』

 とありました。『俄かに立つ水』が転じて「にはたづみ」になったらしいですが、平安時代には『庭・只・海』の意と理解されていたとのことです。

9831(←要するにこんな感じの庭?)

 この歌、「のどけし」「さびし」の二つの形容詞が使われていて、作者の心は、のどかなのかさびしいのか、いささか焦点がぼやけてしまっています。題詠で無理やり詠んでいるためでしょうか。歌としてはイマイチです。とはいえ「にはたづみ」という言葉には心が惹かれます。まだまだ知らない表現があるものだと感動した次第です。

参考:「全訳古語例解辞典(小学館)」「新明解漢和辞典(三省堂)」「広辞苑(岩波書店)」

【983】

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