後夜聞仏法僧鳥(空海)
空海の漢詩、後夜聞仏法僧鳥(後夜、仏法僧鳥を聞く)を鑑賞してみます。
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「後夜聞仏法僧鳥」(こうや ぶっぽうそうちょうをきく)
閑林独座草堂暁(かんりんどくざす そうどうのあかつき)
三宝之声聞一鳥(さんぽうのこえ いっちょうにきく)
一鳥有声人有心(いっちょうこえあり ひとこころあり)
声心雲水俱了了(せいしんうんすい ともにりょうりょう)
※後夜=早朝5時ころ。
※了了=明瞭なこと。
(意訳)暁のころ静かな林の草堂に独り座っていると、「ブッ・ポウ・ソウ」と三宝を一度に唱える鳥の声が聞こえてくる。鳥は無心に鳴いているのだろうが、人には心がある。声と心が雲と水(雲水であるこの私)に溶け込んで、ともにりょうりょうである。(悟りの境地があきらかになる)
詩吟として好まれるだけあって、調べのいい詩ですね。題にある「後夜」は、実は夜明け方だそうです。季節はちょうどいまごろ、さわやかな初夏の候です。お堂でひとり座禅をしていたら、三宝である仏・法・僧を一度に兼ねた名前を持つ鳥の声が聞こえました。仏に帰依する身としては最高のシチュエーションです。作者のハイテンションぶりがうかがえます。特に、二句から三句への「一鳥」、三句から四句への「有心」・「声心」という繰り返しが耳に心地よく響きます。結句の「了了」に、作者の満足感があらわれているようです。実は「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴くのは仏法僧ではなく、コノハズク(フクロウの一種)とのこと。ややこしいですね。ならば、この際名前を交換して、鳴き声に合わせればいいのに。
空海といえば弘法大師。名前は知っていても、私には毎月21日の弘法さんくらいしか縁がないです。…讃岐の生まれ。平安時代はじめに唐に渡って、帰国後真言宗を開いた人。高野山・金剛峯寺を開いた人。東寺・教王護国寺を建てた人。三筆のひとり。…かつて学校で教わったことを、思いつくままに挙げてみました。もしも間違ってたらごめんなさい。『弘法も筆の誤り』というくらいです。私が多少間違ったことを書いても許していただけるでしょう(笑)
(東寺)
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空海の影響力が大きかったのでしょうか?空海はブッポウソウを仏法僧と鳴くと思ったので名前を変えることは難しいでしょうね!?最澄はどうでしょう?facebook横山様仏法僧ものぞいてみてください♪
投稿: 横山様仏法僧 | 2017年6月19日 (月曜日) 06時27分