大仏の柱くゞるや春の風(二柳)
奈良の東大寺大仏殿の柱の穴をくぐると、無病長寿の御利益があるといわれています。先日、訪ねてみました。
堂内に縦横30cmほどの穴のあいた柱が立っていました。このサイズは、ちょうど大仏さまの鼻の穴と同じ大きさとのことです。なんのために開いているのかというと、大仏殿の鬼門の方角にあたり、邪気を逃がしているのだそうです。 江戸時代中期の俳人二柳(じりゅう、1723~1803)という人の句があります。
【大仏の柱くゞるや春の風】(だいぶつのはしらくぐるやはるのかぜ)
(意訳)われわれはやっとの思いでくぐり抜ける大仏の柱も、さわやかな春の風は難なく抜けていった。
あるいは季語の「春の風」には邪気を払う意味が込められているのかもしれません。そこまで深読みしなくても、春らしい気持ちのいい句です。
↑大人が抜けるのはちょっと厳しい柱も、小学生の孫には難なくくぐることができました。なぜか外国人観光客に人気らしく、私たちが行ったときも、ブロンドヘアーの若い男性が四苦八苦しておりました。苦労の末に通り抜けると、チャレンジ精神に感動したまわりの人から拍手がわき起こりました。ちょっとした国際親善でしたよ(笑)
【984】
« つくづくと春日のどけきにはたづみ雨の数見る暮ぞさびしき(九条左大臣女) | トップページ | 散残るつゝじの蕊や二三本(子珊) »
「 ご利益さん」カテゴリの記事
- 大仏の柱くゞるや春の風(二柳)(2014.05.07)
- 五条の天神(京童より)(2014.04.12)
- 水もなく舟も通はぬこの島にいかでか海人のなまめかるらむ(輔相)(2014.03.23)
- 北野天満宮「梅苑」散策。(2014.03.12)
- 北野どの御すきものや梅の花(竹馬狂吟集より)(2014.02.25)
「 勝手に鑑賞「古今の詩歌」」カテゴリの記事
- 夏風邪はなかなか老に重かりき(虚子)(2014.05.21)
- 後夜聞仏法僧鳥(空海)(2014.05.20)
- 夏といへばまづ心にやかけつはた(毛吹草)(2014.05.19)
- 絵師も此匂ひはいかでかきつばた(良徳)(2014.05.18)
- 神山やおほたの沢の杜若ふかきたのみは色にみゆらむ(藤原俊成)(2014.05.17)
« つくづくと春日のどけきにはたづみ雨の数見る暮ぞさびしき(九条左大臣女) | トップページ | 散残るつゝじの蕊や二三本(子珊) »
コメント